【新生児内科の紹介】
NICU/GCUは、周産期・こどもセンターの新生児部門として、早産・低出生体重児をはじめ、先天性疾患や妊娠・分娩経過で治療が必要と判断された赤ちゃんを受け入れるための病棟です。江東区で唯一の新生児集中治療施設であり、新生児集中治療施設9床と回復期病床20床(開院時はNICUのみ)を有し、当院出生に限らず、近隣の病院より24時間体制で新生児の救急搬送を受け入れています。
当院は、産婦人科とNICUが併設している利点を生かし、日ごろからカンファレンスを綿密に行うことで、胎児期からの一貫した診療が可能となっています。また、スタッフは新生児医療に経験豊富(新生児専門医、新生児集中ケア認定看護師、薬剤師、臨床工学士 等)であり、高度医療を担うとともに、母乳育児の推進や赤ちゃんが快適に過ごせる環境づくり等、赤ちゃんやご家族にやさしいNICUとなるように努めています。また、退院後は、小児内科医、臨床心理士と協力しフォローアップや予防接種を行っています。
【当院NICU/GCUでの取り組み】
・分娩時の立ち合い
当院では24時間、新生児科医師が待機しており、緊急時にも迅速に対応できる体制を整えています。また、リスクのある妊婦さんの出産には必ず新生児科医が立ち会うようにしています。
・母乳栄養の推進
いうまでもなく、赤ちゃんにとって最適な栄養は母親の母乳です。母乳は未熟な赤ちゃんがかかりやすい腸や肺の病気や感染症から赤ちゃんを守ってくれるのです。母乳イコール栄養ではなく、母乳には赤ちゃんを守る薬としての役割もあるということです。
・母乳バンク
何らかの理由で母親の母乳が与えられない場合には、WHO(世界保健機関)やアメリカ小児科学会、ヨーロッパ小児栄養消化器肝臓病学会をはじめ多くの学会や機関は、人工乳よりも母乳バンクから提供されるドナーミルクを優先して与えるよう推奨しています。オーストラリア、ニュージーランド、ポーランド、トルコ、中国、インドなど多くの国で母乳バンクができてきました。米国では現在18の母乳バンクが稼働していますが、さらに10の母乳バンクが計画されています。また、シンガポールでも母乳バンクを作る計画が進んでいます。母乳バンクが提供するドナーミルクは、出産したお母さんの母乳には及びませんがそれでも人工乳に比べると、赤ちゃんの病気を防ぐだけでなく、赤ちゃんの将来にわたってよい効果をもたらすという報告が出てきているのです。
・半個室
当院のNICUは、救命や治療だけではなく、赤ちゃんの生活の場として、ご家族を含めて安心して過ごせる空間を目指しています。本邦のNICUの多くがワンフロア型ですが、当院では半個室とすることで、集中治療室でありながらもプライバシーにできるだけ配慮し、新たなご家族の始まりをサポートさせていただきたいと思っています。
・カンガルーケア
NICUではタッチングやカンガルーケアを通して、赤ちゃんとお父さん、お母さんとの触れ合いを大切にしています。急性期を過ぎ病状が安定したら可能ですので、詳細はNICUスタッフにお聞きください。
【当科で扱う疾患】
早産・低出生体重児、新生児仮死、呼吸障害、痙攣、感染症が疑われる児、重症黄疸、
嘔吐、哺乳不良 などを診察させていただきます。新生児外科疾患は小児外科医が中心となり診察を行います。(当科では一部を除く先天性心疾患は扱っておりません。)
【NICU/GCUの面会について】
面会時間
NICU/GCUは24時間、面会可能です。
面会できる方
父・母
※きょうだい、祖父母の面会は事前予約制となります。面会に当たり、感染症接触、予防接種歴(要母子手帳)をチェックさせていただき、条件を満たす場合は面会可能となります。詳細についてはNICUスタッフにお聞きください。
【外来について】
・1か月検診
当院で出生した赤ちゃんの健診です。体重などの身体測定、新生児内科医による診察、ビタミンK2シロップの内服などを行います。不安な点や質問などあれば診察中にお聞きください。
・発達外来
NICUに入院していた赤ちゃんは、早産や基礎疾患により、退院後の地域での一般的な健診だけでは不十分な場合があります。それらの赤ちゃんに対し、発達・発育の専門外来を行っています。
・シナジス外来
RSウイルスは冬場に流行するウイルスで、特に早産児や心臓に病気のある赤ちゃん、染色体異常の赤ちゃんが罹患すると気管支炎をおこし、重症化することがあります。シナジスという予防接種を月に一回投与することで重症化を防ぎます。
・その他
SGA性低身長や予防接種(当院出生)などの外来診療も行っています。
【NICU・GCUの設備】
・保育器
・ベットサイドモニター(新生児用呼吸循環監視装置)
・新生児用人工呼吸器
・呼吸補助器
・一酸化窒素吸入療法
・脳波モニター(aEEG)
・自動聴性脳幹反応(AABR)
・血液検査機器(簡易血糖測定装置、血液ガス分析装置、ビルメーター、CRP測定装置)
・超音波診断装置
・広角眼底カメラ
・眼科レーザー光凝固装置
・陰圧個室(2床) 半個室(7床)
・高度清浄空調
・搬送用保育器
・授乳・搾乳室・沐浴室
・母乳バンク室
【新生児搬送に関して(地域の先生方向け)】
近隣の分娩施設で出生後に赤ちゃんの具合が悪いときは、できるだけ新生児搬送をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。ただし、感染予防の観点から、いったん貴施設を退院された赤ちゃんは、原則としてNICUには入院できませんので、そのときは対応を検討させていただきます。
搬送の際には下記に連絡し、新生児科医師につないでもらうようにしてください。大変申し訳ありませんが、当院の人員の都合上、お迎えには行けませんので搬送に関しては搬送元施設にお願いしております。
【電話】
03-6204-6130(医療連携直通) 8:30~17:00
※混み合っている場合は代表電話 03-6204-6000 までご連絡ください。
03-6204-6100(受付時間外) 17:00~翌8:30
【新生児搬送に関して(NICU医師向け)】
江東区、豊洲近隣にお住いの方のバックトランスファーをお受けしております。適応等は上記の電話よりご相談ください。
新生児内科
NICUとは?
NICUとは「Neonatal Intensive Care Unit」の頭文字をとった略語で「新生児特定集中治療室」を意味します。少し早く生まれた赤ちゃんや、病気を合併している赤ちゃんのため、出生直後から集中して治療をする場所がNICUです。また、GCUは「Growing Care Unit」の略でNICUでの急性期治療を終えた赤ちゃんや、NICUほどの集中治療は必要としない赤ちゃんがいる場所です。